2016年5月13日
2016年7月からの学生ビザ変更点について(SSVF)
最終更新日:
2016年7月1日から、Simplified Student Visa Framework(SSVF)が導入されます。これにより、学生ビザの規則が新しくなりますので、ご注意ください。主な変更点は、以下の二点です。
- 学生ビザのサブクラス数簡略
- Immigration risk frameworkの単一化の導入
学生ビザのサブクラス数減少について
今まで学生ビザは、語学学校だけ通う留学生はSubclass 570、専門学校留学はSubclass 572、語学学校と大学に通う方はSubclass 573・・・・というように、進学先により細かく分かれていました。学生ビザ全体で考えれば、全体で8つのSubclassに分かれていたわけです。
今後は、もっと大きな区分けとなり、いずれの教育機関に進学する場合も、学生ビザはSubclass 500。学生ガーディアンビザはSubclass 590となります。つまり今まであった8つのカテゴリが、2つに省略されます。
変更前
- Subclass 570 – ELICOS(語学学校)
- Subclass 571 – Schools(高校)
- Subclass 572 – Vocational Education(専門学校)
- Subclass 573 – Higher Education(大学・大学院)
- Subclass 574 – Postgraduate Research(大学院・研究課程)
- Subclass 575 – Non-Award(学部聴講、ファウンデーション)
- Subclass 576 – AusAid and Defence(AUSAID関連)
- Subclass 580 – Student Guardian(学生ガーディアンビザ語学学校)
変更後
- Subclass 500 – 学生ビザ
- Subclass 590 – 学生ガーディアンビザ
Immigration risk frameworkの単一化の導入
学生ビザ申請の際に、提出を求められる書類は、主に以下の4つとなります
- enrolment requirements(入学許可書、OSHC等)
- English language requirements(英語力証明)
- financial capacity requirements(資金証明)
- Genuine Temporary Entrant (GTE)(戸籍謄本や、純粋に一時入国者であるかどうかを確認する書類)
まず、入学許可書、OSHC、パスポートの情報は引き続き、提出が必須となる情報です。上記がありませんと、学生ビザ申請そのものが進められません。
ですが、今までは留学生の国籍を元にリスク(アセスメントレベル)を設定し、学生ビザ申請の方法および取得までの難しさがが決定していました。今後は、留学生の国籍リスクに、「教育機関のリスク」を加え、総合的に判断していこうというものです。
ちなみに、このリスクレベルですが、国のリスクレベルは学生ビザを取得した学生が、オーストラリア入国後にどれだけしっかりとビザのルールを守っているかにより、判断されます。つまり、ビザのルールを守らない人が多い国は、危険度が高い国と判断されています。
このレベルは1〜3まであり、1は危険度が最も低く、3は危険度が最も高いと判断されます。
| 教育機関のリスクレベル | 国のリスクレベル | 必要書類 |
リスク無し | レベル1 | レベル1,2,3のいずれか | 英語力証明、資金証明書類提出は必要ありません。 |
レベル2 | レベル1,2のいずれか |
レベル3 | レベル1 |
リスク有り | レベル2 | レベル3 | 資金証明ほか、英語力証明の提出が必要 |
レベル3 | レベル2,3のいずれか |
日本国籍保持者は、国のリスクレベルが1に指定されています。そのため、上記の表にありますように、移民局へ英語力証明や、資金証明等を提出する必要はありません。
1点注意いただきたいのは、”移民局”に英語力証明を提出しなくても良いというだけで、進学先となるコースで英語力条件が求められている場合は、提出する必要があります。
また、以前から行われておりますGTE制度(純粋に一時入国者であるかどうかを審査する制度)は、リスクレベルにかかわらず引き続き行われます。そのため、移民局よりGTE関連の書類確認(戸籍謄本や、なぜその教育機関を選んだかのレター)が求められた場合は、速やかに提出しましょう。
ここまで書きましたが、日本の国籍リスクレベルが「1」に指定されているということは素晴らしいですね。今までオーストラリアに来た日本人の方々が、きちんとビザのルールを守り滞在しているということですから、「信頼されている」ということです。
現在オーストラリアに滞在中の生徒さんはもちろん、これから留学する方たちも、この「レベル1」をきちんと維持できるよう、ビザのルールはきちんと守り、生活しましょう!
なんでSSVFが導入されたの?
今までは、Streamline Visa Processing(SVP)と呼ばれる、規則がありました。簡単にいえば「オーストラリアが指定した教育機関であれば、学生ビザの申請方法を簡略化するよ」というものです。
日本国籍保持者であれば、学生ビザ申請は非常に簡略化されているため、ビザ取得が大変と感じることはありませんが、日本以外のいくつか国では、学生ビザ申請をするうえで、非常に厳しい条件を求められます。
そのような国の留学生が、専門学校と大学を、個別に学生ビザ申請すると、なかなかビザが発給してもらえません。ですが、「TAFEから大学をパッケージで申請(SVP制度を利用)」することで、ビザ申請が簡略化されていました。
2014-2015年の学生ビザ申請数を元にした場合、332,778件の申請に対し、299,540件の学生ビザが発給されています。そのうち、実に約半数(50%)の留学生は、上記のSVPをもとに学生ビザを取得していました。
ですが、このSVPの制度を実施後に、大きな問題がありました。パッケージで学生ビザを申請したものの、途中で行かなくなったり、転校を繰り返す生徒が続出したのです。その為、今後はSVPの規則は廃止し、SSVFを導入することになりました。
教育機関のリスクレベルはどうやって決まるの?
下記の指標を元に、比率にてリスクレベルが決定されます。カッコ内は査定比重です。
- 学生ビザのキャンセル数 (25%)
- 虚偽、不正な申請による、学生ビザの発給拒否(40%)
- 虚偽、不正な申請ではない、学生ビザの発給拒否(10%)
- 学生ビザ規則を守っていない(15%)
- 学生ビザ保持中からの、難民ビザの申請数 (10%)
やはり、虚偽の申請に対しては厳しい対応ですね。ちなみに、海外留学生数が少ない教育機関は、それだけでレベル2と指定されるようです。
教育機関毎のリスクレベル比率は?
現在学生ビザが取得できる教育機関は、約1100校ほどありますが、今回のSSVF導入時には、全体の8%がレベル1、86%がレベル2、6%がレベル3に指定されるようです。
教育機関毎のリスクレベルはどうやって知ることができるの?
実は当社でもまだわかりません。すでに各教育機関にはリスクレベルが伝えられているようですから、今後は各教育機関から発表があるかと思います。
リスクレベルの更新頻度は?
教育機関リスクおよび、国のリスクレベルは、今後移民局が6ヶ月毎に調査を行い、その結果を元に、12ヶ月単位で更新されます。
資金証明に必要な額は?
高リスクに該当する留学生の場合、学生ビザ及び、学生ガーディアンビザであれば、19,830ドル。婚約者またはデファクト・パートナーであれば、6,940ドル。扶養家族であれば2,970ドルが基準となります(いずれも1年間あたり)。
変更点後による影響
「日本国籍の方が学生ビザを申請する」と考えた場合、良い変更だと言えるのではないでしょうか。
例えば、今までであれれば「専門学校の学生ビザ(Subclass 572)取得後、同学生ビザ期間中に、大学進学したい(Subclass 573へ変更)」と考えた場合も、再度学生ビザ申請が必要でした(※移民局から指示がある場合)。
これは、進学する教育機関に応じた学生ビザ(つまりはSubclass毎)を保持しなければならないという規則があるためです。
ですが、今後は学生ビザがSubclass 500に統一されることにより、学生ビザ期間中に他の教育機関へ転校(編入)した場合も、学生ビザの再申請は必要なくなります。
ビザの規則は頻繁に変わりますので、詳しくは移民局のサイト等をご確認ください。