【体験談】休学留学でオーストラリアの教育現場を体験!英語教師を目指す私が3ヶ月の日本語教師アシスタントプログラムで得たもの

山田 真子さん 2024年6月7日

山田さんは、日本の大学を休学し2023年8月にワーキングホリデーで渡航されました。語学学校で英語コースに通った後、1学期間日本語教師アシスタントプログラムに参加されました!

プログラムの後はメルボルンを離れタスマニア州に移動し、パースからウルル、タウンズビルからケアンズの旅行を終えられて日本帰国された山田さん。残りのワーキングホリデー生活も楽しまれたようです。

日本語教師アシスタントでも子どもたちに囲まれて充実した時間を過ごされたので、その体験を今回はインタビューさせて頂きました!


アシスタントプログラムに参加しようと思ったきっかけはありますか?

 
現在大学4年生で、人文学部(英語学)で日本の中高教員免許を履修中なので、海外の教育現場にも興味がありました。

日本で教育実習に行った時に英語がうまく話せないのに教えていることに少し違和感を感じ、漠然とこのまま英語教師になっていいのだろうかという疑問もありました。

日本の高校は100%英語での授業が推奨されているようですが、私が教育実習を経験した中学校は英語と日本語の割合が半々位でした。

授業もガイドラインに沿わないといけないので、実習先で英語で授業をしないといけない時はほとんどが暗記でした。そういった経験を通して、どうしたら効果的に英語を教えられるのか、どういう場面で日本語で教えるほうがいいのか、逆に英語を取り入れるべき時はどういう時なのか、など、感じることがたくさんありました。

そこから、海外では英語で第二言語(日本語)をどうやって教えているんだろう、という興味が湧き、一度その現場をみてみたいと思ったことがきっかけです。

私は山口県出身で自然が大好きなので、最初はニュージーランドに行こうと色々調べていましたが、ボランティアの経験ができるようなプログラムがほとんどなく、あっても高額でした。

その中でオーストラリア留学センターの記事が上がっていて、体験談もわかりやすく、記事が最新だったのでイメージも湧きやすく、”このプログラムに参加したい!!”と思い決断しました。

田舎が好きなので、プログラム参加のためにメルボルンを選んだ感じです。そこまでメルボルンに思い入れはなかったのですが(笑)、プログラムでは素敵な経験ができました。


主なアシスタント内容は?

 
生徒達のスピーキング練習の相手をしたり、よくできる子は退屈になるので授業外で個別で教えたりすることもよくありました。

他には授業中の巡回&生徒の質問に答えたり、ミニテストの添削もさせてもらいました。先生が作ったテストの誤字脱字のチェックをしたり、先生の補助がメインの仕事でしたが、先生の指導の元、カフートというゲームを作って授業の最初の10分位で日本の文化や先生が教えている文法のクイズを私が仕切らせてもらったこともあります。


私が参加した学校は、2人の日本人の先生がいるので、先生達の全部の授業に一緒に入らせてもらって、補佐に回ったり、質問に答えたりします。

学校の授業スケジュールはどんな感じですか?

 
いつも8時40分から授業が始まります。そこから1コマ50分くらいの授業が2コマあり、休憩が20分ほど入り、また2コマあります。その後45分くらいのお昼休みがあり、また2コマある感じのスケジュールです。3時半くらいには授業は終わります。

すべてのコマ授業に入っているわけではないので、空き時間は授業で使うゲームを作ったり、調べ物をしたりしていました。先生の隣の席をもらえるので、聞きたいことがあればいつでもすぐに教えてくれます。

先生の取り組みで印象に残っていることはありますか?

 
先生方から生徒に関しての指示をもらうのですが、先生は生徒一人ひとりの性格や弱点、得意な点などを頭で覚えていて、とても細かい情報まで伝えてくれることには驚きました。

「この子はこういう子でこういうことが出来る、出来ないので、こういった事を教えてあげるといいよ」、という感じに的確に伝えてくれます。一人ひとりを個人としてしっかり見て、向き合っているんだな、と感じました。

先生方の向き合い方を見て、私が一番最初にやったことは生徒それぞれの名前を覚えることでした。

名前だけじゃなくて、趣味やレベルなども教えてくれるので、必要であれば新しい情報はメモしたりもしました。プリントを配ったり、声をかけるときに名前の声がけを意識しましたが、生徒は100人以上いるので、もちろん大変でした。(笑)

でも名前を呼ぶとみんなとても嬉しそうだったので、距離を近くするためにも名前で呼ぶことはとてもいい事だなと感じました。

授業に実際参加してみて、学びなどはありましたか?

 
はい、たくさんありました。

まず1つ目は生徒との関わり合いについてです。日本語を学習しているからといってどの生徒もみんな語学習得にやる気があるわけではありません。日本には興味があるんだけど、授業通りのことをやりたくないという子もいて、1対1のセッションをした時に書きたくない、話したくないという子もいました。

こういった時は、どうやったらその子にやる気を持たせるかが重要になってくるので、最初は普通の会話から始め、興味のあるアニメを通して会話を広げていき、最終的には私とのセッションに乗り気になってくれました。

必ずしもこれを教えなくてはいけないということはなくて、状態を変えるためにその子に合ったものを提供する授業でもいいんだということに気づけた経験はとても印象に残っています。

他にも、ゲームなどの教材作りをする上で、どうやったら見やすいか、答えやすいかを先生は常に考えているんだなということは勉強になりました。出題の順番だったり、文字の大きさ、スペースの空け方など詳細にこだわり工夫することも教えてもらいました。


そして、先生には厳しさは必要なんだなと強く感じました。生徒よりも先生は体格は小さく、言語は第一言語じゃないその中で、どうやってなめられず、威厳があるような接し方をするのかなど、常に先生方は考えて授業をされていました。

例えば一回注意しても直らない時は、先生はめげずに注意し続けていました。「厳しくするのは先生の役目だからアシスタントの私はなにもしなくてもいいよ」と言ってくれたので私が注意することはなかったのですが、注意する側も疲れるのに、しっかり徹底しているのはすごいなと感じましたし、先生でいる為に何をすることが大事かを教えてもらった気がします。

オーストラリアの日本語教育レベルについてどのように感じましたか?

 
日本の高校生の英語レベルよりも日本語レベルは断然高かったと思いますし、実際にどんどん上の学年(11,12年生)に行くにつれて履修者が少なくなっていく印象もありました。ですが、自分で好んで履修しているだけあってとてもレベルが高いです。

低学年では必修として言語を必ず1つ選ばないといけないので、日本語学習に興味があるかないかは人によってとても差があるとも感じました。

日本語を勉強する事は好きじゃなくても、アニメや文化が好きな子が低学年だと多いので、今まで騒がしかった子達が、アニメとかを見せたときはとても静かになるのも面白い光景でした。日本を旅行したことがある子達が断然多かったので、そういった事が勉強のモチベーションに繋がっていることにも気づきました。

日本の文化や考え方に多くの生徒は興味を示し、日本に関するトピックを扱った時には特に質問が多かったり、スピーチをしたり、意見をするような授業もありました。

日本の英語授業で扱われる問題文はコンプライアンス的に守られたもので、悪く言えば退屈なものが多かったりしますが、オーストラリアでは深い内容のものが多く興味をそそられるものも多かったように感じました。

プログラムに参加する上で備えるべきことはありますか?

 
コミュニケーションをとる機会がたくさんあるので、英語がある程度理解できる方がいいとは思います。

先生と生徒という立場ではなく、できるだけ対等の立場に立てるように、人として関わる意識は持っていました。興味がある話題が出たら、話を膨らませたり、日本の現状を教えることもありました。

日本の文法の構成などはプログラム前に理解していなくても、先生に聞けば説明してくれるから、そんなに心配する必要はないかなと思います。いちばん大事なのは、交流を持ちたいという意思表示や、話しかけやすい&質問しやすい雰囲気を作ることかと思います。

授業は基本英語なので、シャイにならない、恐れないことは大事です。誰も私の英語の間違いないなどを指摘する人はいないし、常に理解しようとしてくれます。なので自分から話しかけたり声をかける積極性は大事です。生徒から教わったこともたくさんありました。


プログラム参加前に英語コース受講の必要性は感じますか?

 
私は渡航日とプログラム開始時期の関係上、あまり長い期間語学学校に就学できなかったのですが、行ってよかったと思っています。語学学校には渡航したばかりの留学生もたくさんいるので、友達も出来やすいです。今も交流が続いている友達も多く、いい出会いの場でした。

インパクト・イングリッシュ・カレッジに通学していたのですが、英語のウォームアップとしては最適の学校だったと思います。インパクトがあったからこそ、プログラムを開始してからの子供達の質問攻めにも対応できたと思っています。語学学校を経由せず直接プログラムに参加していたら、英語でのコミュニケーション力という意味で、ちょっと大変だったかもしれません。

あと、英語の先生になりたい人がいるなら、語学学校の先生が使うクラスルームイングリッシュは完璧なので、今後のご自身のお手本にできると思います。

プログラムに参加後、英語教育への思いに変化はありましたか?

 
英語の先生になるとしても、英語がペラペラである必要はないのかな、と感じました。このプログラム経験を通して、生徒が英語を楽しんでくれる授業を提供できることが一番大事だと感じるようになりました。

英語をこれから学習する人に対して、英語はハードルが高くない、恐れないでどんどん話したほうがいいということが伝えられるような先生になりたいと今は思います。

日本では授業内でレベルを分けたり教え方を変えたりグループを分けるような方法は行わず、みんな同じクラス内で同じ問題を解きそこで競争し合います。私が今回参加した学校では、クラス内でグループを分けたり、その子のレベルによって課題内容を変えることもあり、勉強は個人個人のものという認識でした。

出来る子を伸ばす、出来ない子をフォローするというような教育方法がもう少し日本でも進んでいくといいなと感じました。

プログラム参加中アルバイトはされてましたか?

 
現地のレストランで金、土、日はウェイターとしてアルバイトしていました。たまに平日も入ったりすることもありました。

歩いていたらWantedという貼り紙があったので、応募してトライアルをしての採用でした。ちょうど夏の前だったのでタイミングがよかったのかもしれません。日本でもウェイトレスの経験があったので、フロアランナーとして、料理と飲物を運ぶポジションになりました。

アジア人1人の環境だったので、とにかく意思疎通が大変でしたし、RとLの発音などで苦労したこともいっぱいあり、ミスもいっぱいしたけど、寛大な同僚にたくさん助けられました。

ビーチ前のレストランなので夏限定で多く採用するので、短期で働いている人も多く、世界中からのワーホリメーカーがたくさんいたので、いろんな国の人に出会うことが出来ました。


初めての海外生活でなにか気づきはありましたか?

 
アジア人に見えることや日本人だという事を通して、日本人であることについて考えさせられたことはよくありました。

日本にいると日本人であることになんの疑問も感じませんが、外国に来て改めて自分は外国人であることを感じ、不思議な気持ちになったり、気が引き締まる思いにも何度かなりました。この感覚は留学しないと経験できない事だと思います。

自然に溶け込めた感じもあったので、多国籍であるメルボルンを選んでよかったと改めて思っています。


今後のプランは?

 
現在は無事ワーキングホリデー留学を終え、日本に帰国しました。

今回の経験を通して、何事も楽しもうという心持ちは大事だと思っているので、これからも色々なことにチャレンジしたいと思っています!


※旅行先のタスマニアとウルルにて

英語力も上がって自分に自信もつきましたし、オーストラリアで色々な経験をしている人達と出会うことで、価値観も変わってきました。

あれこれ人生計画をしっかり事前に練らなくても、自分の人生をもっと楽しみながら決めていくのでもいいのかなと思えるようになったので、これからも今の自分にしか出来ないことを存分楽しみその経験を生かして、大学卒業後の自分の進む道をゆっくり決めていきたいと思っています。