【体験談】大学を休学して外から日本を感じ、異文化を体験する”ワーキングホリデー留学”
立花 健さん 2020年9月3日
立花さんは、将来自分が何をしたいのか何になりたいのかを探したいという強い想いから、大学在学中に休学留学をしてオーストラリアに2020年8月15日まで合計約2年間ワーキングホリデー留学されました。
キッチンハンドを行いながらのパースの生活から、セカンドを取るための約半年のファームの仕事、そしてバイロンベイでキッチンで働きながらの生活、そして最後に当初からの強い希望であった日本語教師ボランティアの体験まで色々経験された立花さん。
日本語教師ボランティアでの体験や、この約2年間のワーキングホリデー生活について、たくさん語って頂きました。
日本語教師ボランティアに参加した理由は?
日本の大学では「経済学部国際商学科」で勉強しています。日本で学ぶ中で、他の国での文化とか考え方などに以前から興味がありました。
ボランティアを通して、オーストラリアではどのように日本を学んでいるのか、日本に対してどのようなイメージを持っているのか、等を知りたくてこのボランティア参加を決めました。
日本の外から日本に対してのイメージを知ることで、日本人では気づけない問題や日本のいい良い点を知りたかったですし、今後日本をベースに海外と関わっていけるような仕事をしたいと思っているので、この経験を将来に活かせればと思い決意しました。
プログラムについて
とても残念ではあったのですが、3月から開始予定だったプログラムが、コロナウィルスの関係で時期が大幅にずれてしまいました。 なので実際に開始したのは6月1日で、学校に通学している学生も通常より限られていましたので、担当できる学年が通常より少なくなりました。
ですので、学校での役割としては、主に11−12年生とスピーキングの練習をさせて頂きました。
高学年だということはあるとは思いますが、それでも皆の日本語力の高さに驚きました。取り組んでいる課題もとても挑戦的なものでした。
日本人の価値観や社会的な問題を自分たちで調べたり 授業で学んだ事に対して自分たちの意見を話す姿は、レベルの高さをとても感じましたし、課題に対する理解度や知識量の多さ、意見のまとめ方や論じ方、とても画期的なアイデアや考え方にも毎回驚かされました。
ある授業では、TEDトークの「性別に関するスピーチ」を皆で見て、その後に、女性差別や性別に対しての考え方について8人位のクラスのグループで議論をし始めました。
通常日本の教育ではレポートで自分の意見を一方的に述べることが多いと思うのですが、皆で話し合うという授業スタイルに驚きました。
日本とはまた違う授業の手法、そして生徒たちの発言力の高さは文化の違いを感じるとともに毎回新鮮でした。
子供達はとてもおしゃべりで、授業以外でも色々なことを話してくれましたし、授業以外でもよく声をかけてくれました。
プログラム自体は約6−7週間ほどだけだったのですが、そのような短い期間の中でも普段何をしているのか、何に興味があるかなどを気軽に話すことができたのはとても楽しい時間でした。
楽しかった経験などはどのようなことでしょうか?
学生がとても良い雰囲気で授業を受けており、毎日教室に行くのがすごく楽しみでした。
テスト前に個人練習を一緒に行った学生がテスト時に力を発揮できている姿を見れた時や、スピーキングの練習で学生からの質問に対して的確なアドバイスができ、生徒の顔が晴れた瞬間を見た時などは、とても嬉しかったです。
生徒のレベルはそれぞれで、発展的な課題に取り組んでいる生徒もいました。
一緒に練習している時に質問をされるのですが、時間や自分の知識不足でその場で答えられなかったという時もありました。そんな時は、一旦は持ち帰り家で答えを考えることもありましたが最終的に答えを学生に共有した時に、その答えが学生の助けになる事がとても嬉しかったですし、やりがいを感じることが出来ました。
また、リスニングの練習問題を作る際に日本の価値観や日本独特のものについて調べたのですが、自分でも知らなかったことを知れたり、もしくは普段何となく経験している事をより深く認識出来た事は楽しかったですし、とても勉強にもなりました。
アシスタントやっていた上で工夫した点、または苦労した点はありましたか?
工夫した点として、「雑談」を常に大切にしていました。一対一のスピーキングの練習の時にアイスブレイクの意味も込めて、日本やオーストラリアの事、そして興味があることなどを本題に入る前に話すようにしていました。
英語と日本語を交えながら出来るだけリラックスして取り組んでもらいたいと思ったからです。盛り上がってしまい時間の配分がうまくできない事が多々ありましたが、日本語で挑んでいる姿に感動しました。
また、授業や個別面談から私自身が学ぶことも多かったので、その際に意見をメモしたり、リスニング教材を作る為のアイデアを探す時も普段や授業の際の会話でどんなことに学生が興味があるのかを探るようにしていました。
質問を受けた際に、直接全てを答えるのではなく生徒自身にも考えてもらう部分を残したり、自身の考えや言葉をできるだけ生かして答えを出してもらうようにする事は常に意識しました。
逆に、日本語をどのように伝えたら理解してもらえるかだったり、もっとどんなことを引き出したら良いのかを考えるのに苦労しました。
この経験を通じて学んだこと
この経験を通して本当にたくさんのことを学ばせて頂きました。他の国もそうだと思いますが、日本にはたくさんの独特な文化、価値観があります。ですが、違う文化に触れ、外から日本を見ることで、それらの文化や価値観は、生かしていくべきものもあれば、今後のために改善が必要になるであろうものもある、ということが分かりましたし、改めて考えさせらる機会がいくつもありました。
この学校で出会った学生は皆、本当に柔軟な考え方や素晴らしいアイデアを持っていて、毎日「ああいう考え方もあるのか」と驚きの連続でした。
また、学校の生徒だけではなくオーストラリアや海外の皆さんが日本についてこんなにも知ってくれているんだと嬉しくなりました。
特にオーストラリアでは”クリティカル・シンキング(批判的思考)”や”オープンマインド(偏見のない考え方)”の姿勢に積極的なので、このような考え方は生徒や先生から学びました。
ワーキングホリデー生活について
オーストラリアには合計で約二年滞在し、セカンドワーキングホリデー制度も使いました。パースで入国して語学学校は12週間通学していましたが、語学学校に通学時からレストランでキッチンハンドとしてアルバイトを始めました。
その後セカンドワーキングホリデー制度も利用しようと思っていたので、ネットで検索して、まずはいちごファームから働き始めました。ただファームがあまりよくなかったというのもあり合計2つのファームを経験した後に野菜工場で最後は働き、合計半年間ファーム経験をしました。
その後は、サーフィンが好きなので、住むことが夢でもあった「バイロンベイ」に行き、そこですぐにアルバイト探しを始めました。
ちょうど夏の初めだったので、比較的すぐ見つかりました。私がラッキーだったというのもあるかもしれませんが、パースも含めてアルバイト探しにはあまり苦労しませんでした。
面接にいった先でのスタッフと気が合いすぐに採用されるという感じで、順調にアルバイトは見つかりました。私自身、とてもひとなつっこい性格でよく話すのでそれもよかったのかもしれません。
また"日本が好き"という理由ですぐに採用を決めてくれた場所もありました。
バイロンベイでは2つのレストランを掛け持ちしていました。
この時は2年目ということもあり英語も上達していましたし、仕事自体も楽しめる余裕もあったので、ほんとうに素晴らしい経験が出来ました。
バイロン・ベイでは2つアルバイトをしていたので、毎日寝る時間を削るほど忙しい日々でしたが、お金はほんとうに稼げました。
メルボルンではボランティアに専念したかったので、お休みの日以外は働いてなかったのですが、メルボルンでも余裕がある生活が出来たのはこのバイロンベイの生活があったからだと思います。
働いてびっくりした事は、アルバイトだったのに有給や病欠休暇がついたことです。
オーストラリアはアルバイトと言っても”パートタイム”と”カジュアル”の2つの種類があります。パートタイムだと働くシフトがすでに決まっているのですが、その分有給もつくので、やめる時に溜まった有給分の給料をもらえたことも驚きでした。
またオーストラリアの制度でとてもいいのが”ダブルペイ”です。私の働いていたレストランでは、土日と祝日は時給が変わります。土曜日は1.5倍、日曜日と祝日は2倍でした。
また夜遅くまで働いていると深夜手当もつきました。「通常人が働かない時には給料が高くなる」というオーストラリアの制度は稼げるのでほんとうにいいです。
※バイロンベイのバックパッカーにて。手作りのラーメンを作ってみんなに披露しました。
今後ワーホリを考えている人へのアドバイス
最初に何をしたいかの目標を持つことは大事かと思います。私は”バイロンベイで働きたい”と”日本語教師ボランティアをしたい”の2つの目標を掲げていたので、それをするための行動を常に心がけてきました。
何をしたいかの柱がしっかりしていれば、それをするために何をしないといけないかはおのずと見えてきます。
また、オーストラリアは物価が高いのも事実ですが、日本に比べて時給が高いのはとても有り難かったです。
特に私はすべてローカルの環境で働いていたので、時給も20ドル以上はもらっていましたし、高いところは28ドル(1ドル80円計算で約2200円)でした。
ローカルで働くのは大変かもしれませんが、”英語力への自信”もちろんですが、負けん気やフレンドリーさ、そして笑顔があればなんとかなります。
あと、日本人のまじめさや、きれい好きも評価されたので、それを売りにしてもいいかもしれません。
働いている時にオーストラリア人に言われてすごく印象に残っている言葉が「自分を可愛くみせるのは大事」です。
日本人は謙遜をよくしますが、それだと自分を売り込めないので、自分を少しでも大きく見せて、いかに必要な人材であるかを協調することは大事かもしれません。
※メルボルン滞在中にフラットメイトの仲間と行ったグランピオンズ国立公園