【体験談】2国の教育システムの違いを体感する! 私の日本語教師アシスタント体験談

渡邉 夏菜さん 2017年4月7日

私が日本語教師ボランティアに参加した理由

英語力向上の為留学をしたいと考えた時、ただワーキングホリデーでアルバイトをして滞在する留学というのは考えていませんでした。
そこで辿り着いたのが、大学で中学と高校の英語教師免許を取得したということもあり、海外でも教育に携われないか、という事でした。教育に携わるには、日本人としては日本語教育しかできないという考えから、まずは国を選びその結果、英語圏でワーキングホリデ−制度があるオーストラリアを選びました。

教育現場で経験を積むボランティアプログラムがオーストラリアで多数あるという事を知って、日本でたくさんの検索をしました。
日本でもこのようなプログラムを提供している留学エージェントはたくさんあったので、いろいろ話を聞きましたが、配属の学校が田舎と言われることも多く、また手配料金も割高でした。オーストラリア留学センターの「日本語教師ボランティアプログラム」は料金も他と比べて良心的で、配属先もメルボルン近郊ということだったので、このプログラムに参加を決めました。

たくさんの学びを与えてくれたオーストラリアと日本の教育現場の違い

日本で教員免許を持っていることもあり、今回の留学を通して、今後の進路が教育現場でいいのかをまずは見極めつつ、オーストラリアと日本の教育の違いを実際の目で見て、体験したいという想いが強くありました。

今回、2学期間お世話になった学校は、私立の中高一貫校で、政治家の家族も通うようなお金持ちの学校でした。なので学生も比較的みんな素直な子が多かったです。
私はYear5からYear12年生で日本語を選択している子たちの日本語授業のアシスタントという立場で授業に入らせていただきました。

私の主な業務は、スピーキングの練習の相手をしたり、エクステンションクラスを受け持ったり、出来ない子のフォローアップをしたり、テストの採点をしたり、テストを作ったりすることです。

まず、とてもびっくりしたのが、日本とオーストラリアで教育のシステムが全く違っていたことでした。日本では教育実習を受けていたので、日本のシステムはよく理解しているのですが、こちらに来てから、日本の教育システムとはあまりに違うことが多くて驚きの連続でした。
まず、クラス人数は、とても少ないです。私が配属された学校は、1クラス一人の先生に対して25人までと決まっています。なのでこれ以上になることはありませんでした。
ですので、少人数の授業が行えるため、一人ひとりに対してしっかりケアが行われている印象でした。


次に驚いたのが、第二言語の質の高さです。
日本では私たちは第二言語として英語を学んでいますが、日本の一般的な普通教育で習得する英語力と、こちらの学校の日本語クラスで習得する日本語は、全くレベルが違います。
授業では、読み、書き、話す、聞くの4つのレベルをしっかりカバーしますし、各スキルのアセスメントもしっかり行われます。
ライティングとしては、作文を提出したり、なんと受験生の学年になると社会問題について日本語でディスカッションをすることも! ここは日本教育が見習うべき部分ではないかと、オーストラリアの授業の質の高さにとても感銘を受けました。

また、第二言語の選択肢も一つだけではなく、フランス語や中国語(受験生になるとスペイン語も入る)から選べ、自身の希望により途中で言語を変えることも可能です。そういう点では、学生のニーズに合わせてとても柔軟に対応できてとてもいいシステムだと思いました。

エクステンションクラスでは、レッスンも担当

この学校では、いつも全員の生徒に向けて一つの授業しているわけではなく、時にはレベルに合わせて授業を分ける事があります。
クラスの中で、現時点で比較的よく出来る子と少し学習が遅れている子に分けて、よく出来る子には違う課題を与えて、遅れている子には先生がフォローアップするという体制が取られていました。
この授業はエクステンションクラスと呼ばれていて、私も担当をしました。選ばれた数人の生徒で別のクラスを作り、そこでミニクラスのようなものを行います。
担当の日本語の先生からこういう文法を今日は教えてとおおざっぱにいわれるので、その文法を取り入れたプリントをまずは自分で作成します。
そしてその文法の意味を説明し、例文を与えたり、日本語で学生が理解出来るように説明したりして、最終的には問題文を解いてもらうという流れの一時間の授業です。


このエクステンションクラスの最終的な目標としてはその文法をしっかり理解し、課題の作文で活かしてもらうことです。
学生にしっかり意味を理解して、作文で使ってくれるように教えないといけないので、とても重要な任務ですが、生徒たちがしっかり理解して活用してくれた時は、喜びもひとしおでした。

とにかく生徒が可愛く、毎日が楽しくて仕方なかったプログラム

このプログラムを通して、学校で色々な生徒に会いましたがほとんどの学生はみんな日本語が大好き。一生懸命学んでいる姿はとても可愛かったです。
時には驚く程よく出来る子もいて、そんな子たちがめきめきと上達していく姿を見るのはほんとうに幸せでした。 自分の教えた事に興味を持って、そしてしっかり学んで上達してくれる、それを側で見て感じれることはとても貴重な経験でした。

日本語の授業では、日本の特別な文化を教えたりもします。時には遠足の授業でみんなで日本食を食べに行ったり、おにぎりを授業で作ったりしたこともありました。
またワークショップも頻繁に行っていて、折り紙をみんなで折ったり、お茶会をしたり、学期の最終日には和太鼓をみんなで習いました。



和太鼓は私も挑戦させてもらいました! 日本語を習うだけでなく、同時に文化も教える授業形態はおもしろいな、と思いました。


この学校は語学もそうですが、それ以外にも芸術やスポーツにもとても力を入れています。一年に一回学校でミュージカルの発表会があるですが、あまりの質の高さに驚きました! まさにプロレベル。ミュージカルはオーディションから始まり、長い練習を経て、有料で学校で上演されます。今年は「ウェストサイドストーリ」や「オズの魔法使い」を見ることが出来ました。

夏菜さんからのメッセージ

私は今回2ターム経験したのですが、もし参加を考えているのであれば、1タームではなく、2ターム以上参加れることをお勧めします。
長くやればやるほど、学生との絆は深まっていくし、だんだん心を許してくれるのが分かってきます。私はこの2学期間、毎日授業に参加するのが楽しく、行きたくない日は全くありませんでした。
小さい子ども達はほんとうに一生懸命で可愛くて、高校生の年齢の子達とは友達のようなとてもいい関係を築けました。

また、プログラムに参加するのに英語力の基準はありませんが、高いに越したことはないと感じました。もちろんある程度の単語を知っていればなんとかなるとは思いますが、ほとんど説明は英語なので、コミュニケーションがしっかり取れるくらいの英語力があればもっと生徒との距離も縮まると思います。
英語学校で話す相手は主に留学生が多いですが、このプログラムではずっとオーストラリア人との会話になり、英語漬けの日々です。リスニングやスピーキングにはとてもいい環境ですし、ちなみに私もTOEICが70点過去より伸びました。

学校は朝から始まりますが、夕方までには終わるので、アルバイトも出来ます。タームの間は長い休暇が入るので、空いている時間はアルバイトや出かけたりする時間もたくさんあるので、充実したワーキングホリデー生活が送れますよ!

スタッフより

今回の経験を通して、最終的には日本で教師として働きたい!という考えに辿り着いた夏菜さん。今回の学校を見てIB(国際バカロレア)を取り入れている学校に興味が出たようで、早速学校のサーチなどを始められているようです。
今回体験した学校では、先生が学生の事を一人一人しっかりと見ていると感じたようで、生徒の事をしっかり理解し時に愛を持って叱れる先生、そしてそれに応える学生の関係性がとても印象深かったようです。
今後、夏菜さんが英語の先生として、今回の経験を糧に活躍する姿をスタッフ一同楽しみにしています!