【体験談】メルボルンで一からの挑戦! トップバリスタ深山さんに聞くバリスタの極意
深山 晋作さん 2016年11月17日
【2016年11月のインタビュー記事です】
歩けばカフェにあたると言われるぐらいコーヒー文化が根付き、カフェが沢山あるメルボルン。
バリスタになりたくてメルボルンをあえて選んで渡航する方が多い位、世界的にもかなり有名な都市となってきており、日本人の間でも人気の職業となりつつあります。
最初の渡航から来年で4年目になる深山さんは、日本人バリスタがまだ少なかった時代に苦労しながら、現在の道を切り開いて来ました。今では増えてきているメルボルンのバリスタ。その先駆けといえる深山さんにバリスタになろうと思ったきっかけから現在の活躍までをじっくり語っていただきました。
深山さんについてのご紹介:
2013年にワーキングホリデーにて渡航。インパクト・イングリッシュ・カレッジにて17週間就学し英語力を磨いた後、2014年よりロンズデール・インスティチュートにてビジネス系のコースに約二年間学生ビザにて就学。
その後「ST ALi(セント・アリ)」にてビジネスビザを取得し、バリスタとして、ショートコース講師として、そして広報担当として幅広く活躍する傍ら世界大会では2016年ラテ・アート・チャンピオンとなり、定期的に大会に出場し、多くの実績を残している。
主な受賞歴: 「Southern Australia Latte art champion ships 2016」 2位 「2016 MICE Australia national Latet art champion ships 2016」 2位 「2016 World Latte art champion ship Coffee fest in Tokyo」3位 「2016 World Latte art champion ship Coffee fest in USA」 1位 「Southern Australia Latte art champion ships 2017」 1位 |
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現在は日本に帰国して、ビジネスオーナー、コーヒーコンサルタント、インフルエンサーとして活躍されています。
1台のエスプレッソマシンが変えた人生
〜昔からコーヒーが大好きだったというわけでないと笑いながら教えてくれた深山さん。日本に居る時はコーヒーを全く飲まなかったのだそう。父親が買ってきた一台のエスプレッソマシンが彼の人生を変えたそうです!〜ある日、コーヒー好きの父親がエスプレッソマシンを急に購入しました。マシンを使ってコーヒーを淹れているうちに、コーヒー作りにはまり、コーヒーアートに興味をもったのが現在に至るきっかけでした。
それからは、スターバックスのコーヒーセミナーいったり、ユーチューブでラテアートの動画をみたりしながら独自でコーヒーやバリスタラテアートについて学ぶようになりました。
その後「バリスタ目指して留学しよう!」と思い、ふと「コーヒー」「留学」と入れてネット詮索したらメルボルンのバリスタについて書いたオーストラリア留学センターのあるスタッフ記事が目に止まりました。
そこから、メルボルンへの留学が決まりました!
行動力が鍵! メルボルンのカフェでバリスタデビューするまで
ワーキングホリデーで渡航してからは、まずインパクト・イングリッシュ・カレッジで英語を勉強しました。学校終了後からバリスタとして仕事を得たいと考えていたので、語学学校通学中に短期のバリスタコースに通い、スキルを取得しました。短期コースだったのですが、コース終了後もエスプレッソマシンが自由に使えるという特典があったので(*現在はなくなっています)、授業が終わるとそのバリスタの学校に行っては毎日4−5時間練習の日々を送りました。
ここで基本的なバリスタの基礎力、エスプレッソマシンの使用方法などを習得しました。
インパクトコース終了後の最初のアルバイトは、現在働いている「ST ALi」。たまたまお客さんで訪れた時にオーナーに自分を売り込み、シェフとしてキッチンでの仕事を得て働きました。
メルボルンに来て半年後には、エルスタンウィックという地区にあるロコ・カフェでバリスタとして働きはじめました。当時、マンチェスター・プレスとロコ・カフェは同じ経営者だったので、市内にあるマンチェスター・プレスで働くこともありました。
バリスタとして成長できたカフェでの経験
仕事探しは実はそんなに苦労していないです。ロコ・カフェはGumtreeというWEBサイトでたまたまバリスタを募集していたのですぐに決まりました。ただ、実際にバリスタとして働いてからのほうが大変でした。ロコ・カフェの同僚はコロンビア、カナダ、ブラジル、アメリカ人など。何よりみんなよく喋り、気性の変化が激しく個性がとても強かったです。
もちろんバリスタとしての経験もみんなあるので、技術に関しても厳しい目を持っていて、ラテのフォーム、エスプレッソの抽出時間、グラインダーの調節、スピードなどに関しても細かく直されました。ここでの半年で自分の技術力はかなり鍛えられたと思います。
特にロコ・カフェでは、常連のお客さんが多く要望にとてもうるさかったです。また場所がエルスタンウィックだったので、毎朝4時半に起床。体力的にも大変な毎日を送っていました。
その後、フェイスブックで以前働いていたST ALi系列のSensory lab(センサリー・ラボ) がバリスタを探していたので応募。2014年3月から働き始めました。
Sensory labの同僚はヨーロッパ人が多く、忙しさがロコ・カフェと全然違っていました。1日700−800杯はコーヒーが出ているような名店だったので、同僚やマネージャーのスピードに対する厳しさ、プレッシャーも相当なものでした。
*Sensory labにてWEB生中継番組「メルボルン文化を堪能する旅」の取材をうける深山さん。これが日本のメディアからの最初の取材でした
トップバリスタとの出会いが変えた大会への意識
Sensory labで働き始めてから、バリスタ界で何度もチャンピオンになっているMatt Perger(ブリューワーズ・カップ【コーヒー抽出】の世界チャンピオン)とBen Morrow(ラテアートの世界チャンピオン)に出会いました。この二人と出逢い、彼らのバリスタとしての姿勢を目の当たりにしたことから自分の考えが変わり、この国に残りたい、大会で優勝してチャンピオンになろうと決意しました。
特にBenは、彼の大会の様子を見てからそのかっこよさに惚れ、目指してきた人です。
僕の大会参加へのアドバイスをたくさんしてくれたし、特にメンタルコントロールの取り方、トレーニングの仕方、大会によっての戦略方法や、大会当日のオーガナイズの仕方などを教えてもらいました。大会はほとんど彼と一緒に行っていたので、言葉だけでなくどうやったら勝てるのか肌で感じる事が出来ました。
*大会にて。右写真の深山さんの隣に写っているのがBen Morrowさん
メルボルンのカフェで働き始めてから強く感じているのですが、オーストラリアはほんとうに実力社会です。
21歳の若さでもマネージャーになれるし、有名になればなるほど会社からの期待、トレーニングにかけられる時間も持てる、そして世界から声がかかるようにもなります。
僕も大会で結果を出し始めてから、会社側がトレーニングすることに協力的になり、スポンサーの話をもらうことが出来ました。待っているだけでは駄目、努力し結果を残し、それを示すことが大事だと強く感じました。
2016年にはWorld Latte art champion ship Coffee fest in USAで優勝!
〜たくさんの大会への出場し、年々結果を残してきた深山さん。2016年には一つの目標であった「World Latte art champion ship Coffee fest in USA」にて一位となりチャンピオンとなりました。それまでのご自身の努力や意識についても聞いてみました。〜もちろん、カフェと自宅での練習は本当にたくさんしました。ただ、とりあえず練習するだけではなく効率よくする事を心掛けました。
ラテアートも理論から成り立ちます。カップ、グラインダー、ミルクの違いでアートの作られ方が全く変わるので、それをまずは研究して、自分でビデオとって、日々改善を繰り返しました。
練習も大事ですが、一番大事なのは、モチベーションと意識。「チャンピオンになる!」と毎日心に誓っていたし、思うように事が進まないときもネガティブにならないようにすることが結果に繋がったのだと思います。
World Latte art champion ship Coffee fest in USAでの優勝の瞬間
バリスタを目指している方へ 深山さんからメッセージ
メルボルンは、バリスタとしアルバイトを探すチャンスはすごくあると思います。僕が来た時はまだバリスタとして働いてる日本人も少なかったですが、今はカフェ業界の中での日本人はよく働く、器用だということが広まっているし、雇用のチャンスも随分増えたと思います。もちろん技術はまず第一に必要なので、学校やワークショップには参加すことが大事ですが、技術だけではなくて、コミュニケーション力、ホスピタリティー力も強く求められます。
自分が働きたい場所があるなら、まずは現場に行って、コーヒーや食事を試し、下調べをすることも重要です。下調べをしたら、履歴書を持っていく時に自分の情熱を伝える。技術もそうですが、オーナーに自分のことを好きになってもらうことも第一印象でとても大事なことです。 オーストラリアは人との繋がりがとても大事なので、バリスタのお友達や、カフェで声をかけたりして、シャイにならずに自分をアピールすることがとても重要です。そういう意味ではコミュニケーション英語はとても重要になります。
また、僕がビクトリア州の大会で2位になってから、自分の意識もそうなんですが、お客さんの態度、会社の態度も変わったと感じました。もちろんいい事なんですがそれと同時に会社という名を背負っている意識を持つことも出来たので、何か高い目標をもってそれに臨む姿勢になれば、周りのサポートや自分を取り囲む環境が変わるのではないでしょうか。
2022年8月深山さんの現在
2020年8⽉Samurai Dream 株式会社を設⽴。約8年のメルボルン滞在を経て、2021年に日本に帰国し、現在はBarista Map Coffee Roasters ”⾄福のコーヒー体験とコミュニティ”「コーヒーと⼈が繋がる焙煎所」をプロデュースしています。2022年には ”プロフェッショナルなバリスタが提供する感動のコーヒー体験”「珈琲と⼈が繋がる珈琲屋」を始動。⾃⾝の経験を⽣かして、コーヒーコンサルタント、インフルエンサーとしても活躍中です。